なぜ Kindle Unlimited で無料で読めるようにしたのか
本当は最初から無料で出したいと思ってました。しかし、企業では利益を出すのが当然であると同時に、『研究者の子育て』は、エッセイの著者である研究者たちにも印税を山分けするという企画で始まったため、有料で販売するのが正解だと思い、出版した直後は kindle unlimited には登録せず、Amazon、楽天、Google playなど、さまざまな媒体で販売していました。
しかし、Twitterでの研究者の子育て、結婚に関するつぶやきや、読者から届いたメッセージや問題意識に触れるにつれ、もっと多くの読者に読んでもらって、少しでも研究者、また非研究者の子育て世帯が置かれている現状や社会の問題を、共有したほうが良いのではないかと思うようになりました。
理念に照らし合わせて
おそらく、どのような企業でも、たいていは自分たちの理念を掲げていると思います。私たちの場合、それは「研究の世界をより良いものへ」と、「研究の力で社会をより良いものへ」というふたつです。そして特にこの前者、「研究者の世界をより良いものへ」を追求しようと考えた時に、もっと現状を知ってもらって、ひとりひとりが何かしら考える材料を広く提供したほうが良いのではないか、と思いはじめたのです。
実は今も、この理念を実現するために、研究の効率化を目指すWEBアプリの開発や書籍販売を行っているのですが、正直のところ、kindle unlimitedに移行すると、Amazonでの専売にしなければならず、他の媒体で販売することができないため、リスクを被ります。また、規定があり、価格も下げなければなりません。
結構悩みました。しかし、無料で読めるようにしても、利益を出しているサービスもあります。Unlimitedも、読者は無料ですが、出版側には安くなるもののいくらかは入ってきます。そのため、じゃあとりあえず数ヶ月期間限定で、年末年始セール価格として値段を下げ、Unlimitedに移行してはどうか、そういう結論に至りました。若手研究者の多くが苦しんでいる中、なるべく早く研究者の世界をよりよいものにするためには、その方がよいという考えを優先しました。
本書の編集方針的にも…
そもそも本書は、研究者の世界や問題を社会に広く知ってもらうために、工夫を凝らして制作したという経緯があります。これまでの「おカタイ」研究所やエッセイと異なり、笑えるシーンも多いですし、なるべくサクッと読めるようにこだわりました。研究者の方と付き合うと、最初は怖そうだったけど、話してみると意外に楽しい人だったという印象を受けることが多いかと思いますが、本書もそうです。まずは知ってもらって、読んでもらって、この世界について考え、多少なりとも議論の種になればいいと思い、無料で読めるようにすると決めました。
もしかしたら、広まり具合によっては、以前より利益も出るかもしれません。それはわかりませんが、「研究の世界をより良いものへ」の理念を追求するため、あえてリスクをとることにしたのです。
実は、本書は各メディアでも取り上げられ、話題になっています。新聞記事にも記載されるようにもなりました。ぜひ一度、読んでみてください。また、研究の世界を、そして社会全体をより良いものにするという思いに賛同していただけましたら、拡散していただけると幸いです。
本書を取り上げてくださったメディアの紹介
コロナウイルスに関する人気動画を上げている研究者の新妻さんの動画にも及ばれしました!本シリーズの愛読者だそうです。
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